内分泌疾患(甲状腺など)

内分泌疾患とは

私たちの体内では、様々な場所から各種ホルモンがつくられ、それらホルモンが血液を介して運ばれ、標的とする場所で作用を発揮することで生命が維持されています。
内分泌疾患の多くは、特定のホルモンが出過ぎている、もしくは出なさ過ぎていることにより、身体に不調を引き起こします。
ホルモンがつくられる臓器は、下垂体(脳の一部)、甲状腺、副甲状腺、副腎など多岐に渡り、頻度の高い内分泌疾患としては、バセドウ病や橋本病などの甲状腺疾患が挙げられます。その他、副腎からつくられるホルモンの過剰によって起こる高血圧(二次性高血圧症)も、よく遭遇する疾患です。
これら病気の診療に関しては、日本内分泌学会認定の内分泌代謝科(内科)専門医でもある副院長が担当します。

主な内分泌疾患

甲状腺疾患

バセドウ病

甲状腺ホルモンが過剰に分泌される甲状腺機能亢進症のひとつで、その中で最も患者数が多いのがバセドウ病です。主に免疫異常(自己免疫疾患)によって引き起こされるとされていますが、発症のメカニズムについては現時点では判明していません。
女性の患者さまが多く、男性患者さまの5倍程度の数になるともいわれ、特に20~40代の女性に発症しやすいとされています。

よくみられる症状は、動悸、体重減少、下痢、暑がり、汗をよくかく、手が震える、疲れやすいなどです。また精神面では、落ち着かない、イライラする、怒りっぽくなるといったことも見受けられます。甲状腺の腫れや、眼球突出を認める方もいます。
診断は、血液検査と超音波画像検査によって行われます。

治療は、主に飲み薬による薬物療法を行います。抗甲状腺薬として、チアマゾールやプロピルチオウラシルが用いられます。
抗甲状腺薬でのコントロールが困難であったり、同薬の副作用が出てしまったような場合は、甲状腺の一部もしくは全てを摘出する手術療法、放射性物質を用いたアイソトープ治療などが検討されます。

橋本病

慢性甲状腺炎とも呼ばれる疾患で、こちらも免疫異常(自己免疫疾患)によって甲状腺に慢性的な炎症がみられている状態をいいます。女性の患者さまが多く、その数は男性患者さまの20倍ほどで、特に30~50代の女性に発症しやすいといわれています。

自覚症状に乏しいケースが多く、健康診断などの血液検査でたまたま発見されるケースがほとんどです。しかし甲状腺機能低下により、脂質異常症(コレルテロールが高くなる)を引き起こしたり、不妊症の原因となったり、心臓や血管にトラブルが生じやすくなることなどが分かっています。
症状が現れる場合は、甲状腺の腫れ、声がかれる、便秘、体温や発汗の低下、疲れやすい、体重増加、むくみ、寒がり、徐脈等のほか、女性では月経異常などもみられます。

診断は、血液検査と超音波検査によって行われます。
治療は、飲み薬で甲状腺ホルモンの補充を行います。
橋本病の診断を受けた患者さまでも、血液検査上で甲状腺ホルモン数値が目標範囲内である場合は薬をのむ必要はありません。ただ甲状腺ホルモン値の低下、それによる症状がいつ出現するかわからないため経過観察が必要です。

副腎疾患

原発性アルドステロン症

腎臓の上に副腎と呼ばれる臓器があり、ここから分泌されるホルモンのひとつにアルドステロンというホルモンがあります。副腎に腺腫(腫瘍)や過形成が発生することで、アルドステロンが過剰に分泌されている状態が原発性アルドステロン症です。二次性高血圧症の原因として最も頻度が高いものになります。

アルドステロンは、水分、塩分、カリウムの調整などをしており、出過ぎることで血圧上昇などを招きます。またカリウムも不足するため、手足の麻痺、筋力の低下、脱力発作、多尿などの低カリウム血症による症状が現れることもあります。

診断は、血液検査、CT画像検査と、いくつかのホルモン負荷試験によって行われます。
治療は、症状が強く現れている場合にはカテーテル検査を経て、手術を行うことが多いです。
症状が軽度な場合や手術適応がない場合は、飲み薬で血圧などのコントロールを行い、経過観察を行います。

その他の二次性高血圧症を引き起こす副腎疾患

その他、二次性高血圧症の原因として、クッシング症候群や褐色細胞腫などがあります。
下記症状にお心当たりのある方は、当院でスクリーニング検査が可能ですので、お気軽にご相談ください。

クッシング症候群

副腎から分泌されるホルモンのひとつであるコルチゾールが過剰となる疾患です。
症状として、高血圧、血糖値の上昇、肥満、頭痛、多汗、体重減少などがみられます。
最終的な診断・治療には、対応可能な医療機関での入院が必要となりますので、必要に応じてご紹介させていただきます。

褐色細胞腫

副腎から分泌されるホルモンのひとつであるカテコラミンが過剰となる疾患です。
症状として、高血圧、血糖値の上昇、頻脈、頭痛、多汗、体重減少などがみられます。
最終的な診断・治療には、対応可能な医療機関での入院が必要となりますので、必要に応じてご紹介させていただきます。

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